それぞれの幸福の自給自足法

2016年12月2日(金) @下北沢B&B

1.自分に向けての『しないことリスト』

鶴見済(以下、鶴見) じゃあ、8時なんでそろそろ。

pha はい。

鶴見 どうもみなさん、今日はたくさん集まっていただいてどうもありがとうございます。

大原扁理(以下、大原) ありがとうございます。

pha ありがとうございます。

大原 お忙しい所。

鶴見 私が鶴見です。

大原 大原扁理と申します。

pha 僕はphaです。

鶴見 じゃあ、俺が一応新刊もないんで司会的な。ちょっと進行的な役回りも務めますけれども。

今回のイベントは「幸福の自給自足法」というテーマでやらしていただきます。

今回も――前回ちょうど1年ぐらい前に「生きづらさからの脱出法」ということで、ここでやらしてもらったんですけど――前回に続いて大原扁理君が企画してくれて。ここのブッキングとかもやったんですけど。

ちょっと大原君と話してたことがあって。

色んな人が色んな活動をして、例えばフェイスブックなんかに「こんな活動した」とか、旅行に行ったりとか、社会的な活動であったりとか。そういうことをして色々やってるんですけど。

そういう活動って、例えば「家にいるとつまらないから」とか。

ボランティアとか――phaさんなんかも書いてたんだけど――ボランティアなんかでさえ、そういう社会的な活動でも、「やっぱり『家にいてもつまらないから』という理由で行われてることが多いよね」というような話をしていて。

その時に大原君が「やっぱり幸せも自給自足しなきゃダメっすよ」っていうようなことを言ってて。

大原 うん。言いましたね。

鶴見 それを俺はたまたまツイッターで書いたりしたので(註1)。そのことがきっかけで、こういうタイトルのイベントをやることになりました。

で、まあ、2人とも新刊というか新しく出した本があるので。その出版記念も兼ねてという感じで進めていこうと思います。

まずじゃあ、ちょっと本について。

大原 はい。

鶴見 何か、こう……。

大原 本について……えーっと、どうですか?

鶴見 (笑)

pha (笑)どうですかねえ。僕けっこう書いたの前で。何書いたかわりと忘れてしまっているんですけど(笑)。

大原 うん。1年……

pha はい。

鶴見 1年ぐらい前だ。

大原 去年のイベント(2015年12月6日)の直後ぐらいに。

pha 直後ぐらいに。実は1年ぐらい経ってるので。今さら出版記念もちょっと遅いんですけど。大原君が新刊出したので、ちょっと便乗させてもらってるという感じなんですけど。

大原 どうぞ、どうぞ。

pha でもそうですね、僕は『しないことリスト』は、そもそもあれなんですよね。編集者の人に「『しないことリスト』っていうので書きませんか」って言われたんですよね。

なのでそれまでに2冊本を出してたんですけど、そこに書いてるようなのをもっとリスト形式で分かりやすくまとめてどうか? っていう話で。

まあ、「それなら書けそうだな」と思って。それだったら、何かあんまり新しく書かなくても

大原 (笑)

pha 「過去のやつを切り貼りすればできるかなあ?」とか思って。

大原 phaベストみたいな。

pha (笑)そうそうそう。ベスト盤、リミックス盤。

大原 あれ、ほんとに分かりやすかったです。私はあんまり頭が良くないっていうか、こういう風に分けてくれるとすごくどこからでも読めて。どこでも終われてって言うのは

pha そうですね。

大原 読みやすかったですね。

pha でも結局書くのはあんまり、そんなに何か楽じゃなくて。結局、書き出すとやっぱり「新しく書かなきゃいけない」っていう感じになってしまって。

ですけど、まあでも「それなりにまとまったんじゃないかなあ」という感じですね。これについては。

大原 最近台湾版も出されましたね。

pha ああ、そうですね。

大原 『しないことリスト』の。

pha 台湾版が出た……ようです(笑)。

鶴見 やっぱこう、世の中には「しなきゃいけないこと」っていうのが溢れすぎてるという、そういう苛立ちがあった?

pha うーん、苛立ち……

鶴見 辛さというか。

pha そうですね。もっと何かちゃんと働かなきゃいけないとか、もっと真っ当にやんなきゃいけないみたいなのの苛立ちが半分ぐらいと……。

でも半分ぐらいは自分自身に言ってる所もあるんですよね。けっこう自分自身が「やんなきゃいけない」とか思ったりする所もあって。

いや何か「働かなきゃいけない」とか、そういう「真っ当に生きなきゃいけない」というのはまったくないんですけど。

でも何だろう? 「もっと本を読まなきゃいけない」とか、けっこう何か完璧主義なところもあって。自分で自分を焦らせるような所があって。

まあそんなに……「もうちょっと気楽でいいよ」「予定とか守らなくてもいいよ」みたいな感じの、自分に言い聞かせてる部分っていうのもけっこうありますね(註2)。

大原 今あんまり働いてないっていうか、

pha はい。

大原 まったり生きられてると思いますけど、それでもやっぱり詰め過ぎちゃうことあるんですか?

pha あ、詰めることはない。

大原 本読まなきゃとか。

鶴見 でも仕事はすごいやってるよね。phaさんは。

pha 最近書いたりとか。

大原 バイト始めたんでしょ?

pha あとバイト始めたり(笑)。あるんですよね。週2回バイトをしたりとか。何だろう? 仕事っていう意味じゃなくて。

何だろう? 「もっとこういう本を読んどかなきゃいけないんじゃないか」とか。何か……

大原 まじめですね。やっぱり。

鶴見 自己向上心というか。

pha 向上心というか、何ですかね。

鶴見 自分に投資するみたいな。

pha うーん、もっと何か友達とか作んなきゃいけない。

大原 (笑)あー、そうなんですか。

pha ちょっと人に会うのもめんどくさいけど、とか。あと、わりとちゃんと約束を守ってしまうところっていう感じで。

大原 (笑)

pha 予定とか入れると、もうけっこう30分前ぐらいに早く着きすぎてしまって。時間を持て余すみたいな。

大原 まじめですね。やっぱり。

pha まじめなのかもしれないですね。そういう所は。そういうのを「もうちょっと楽にしたい」って、自分で言い聞かせてるところもありますね。

そういうのありますか? 鶴見さんとか「時間守るの苦手」みたいなの昔書いて……

鶴見 あー、そうそう。わざと遅刻したりとかして(笑)。

pha (笑)

大原 わざとするんですか?

鶴見 いや、遅刻……時間がこう、あまりにも日本の社会ってすごいでしょ。もう分単位でピシッと電車がきたりとか。

そういうのが「我々の生きづらさの原因でもある」というふうに前考えていて(註3)。

だからもう時間にちょっと……だってフィリピンとか、そういう所に行ってみてもバスなんて時刻表なんかないですよ。

いつ来んのか分かんないのにずっと待ってる。みんな待ってる。そこに。来たら乗るって感じなのに。

日本だと分単位の時刻表がないと心配で心配でしょうがなくなるとかですねえ。そういうのが「この社会すごいなあ」と思って。

「時間からの自由」みたいなことをちょっと言ってたんですけど。

大原 台湾もね、バス停は20分ごととか。大雑把に書いてありますね。6時から。

pha あー。

鶴見 今ちょっと、後で話してもらうけど、台湾にいる。

大原 あ、そうそうそう。

pha 台湾、台湾に住んでんですよね。

大原 私そうなんです。

pha 台湾隠居暮らし。

大原 またちょっと後で触れますけども。

pha あとで。

大原 はい。

鶴見 でも俺もすごい「しなきゃいけない」というのは、ずーっとあって。だって、そもそもいい大学に、東大に入ったんですよ。オレ。

最初、京大受けたんですけど。最初の年京大落ちて(笑)。それで東大。それだって「しなきゃいけないこと」ですよ。

何か周りの人……で、結局その後すごい一流企業に入って。でもその一年目のあまりにもハードさで「このままだと死ぬ」と思って辞めたんですけど。

全部それ、部活なんかもやってね。「しなきゃいけない」プレッシャーで、全然「やりたい」と思ったことじゃないのに不思議と全部やってんのね。何かね。

pha・大原 うーん。

鶴見 これはもうほんとに、これしなきゃ「お前の青春時代は全然暗いもの」みたいな。

大原 ああ。

鶴見 「部活で青春を満喫しなければ」とか。何かこう受験、「若いうちは受験とか部活に燃えるものだ」みたいな感じで。

それやんなきゃ「後ですごい後悔するんじゃないの?」とか思って。

pha あー。

鶴見 ハマリまくりですよ。

大原 (笑)僕あの、大学も就職もしたことないので。

鶴見 素晴らしい。

pha (笑)

大原 (笑)でも何かお話を聞いてると、ほんとに部活の延長みたいな感じなんですかね? 就職。企業とか。

鶴見 就職も何か受験の延長のようでもあるし。みんなやってるからさあ。「あいつもう背広着て何かスタートしてる」とかなってくると、もうソワソワみたいな感じで。

「俺が入りたいのかどうか?」なんて二の次ですよ。ほんと。

だからもうそんな、人の人生がもう「しなきゃいけないリスト」みたいになってて。そういうのには俺は昔からすごいあって。

でも、会社辞めた時にすべて変わったんですけどね。

pha 僕もそうだし、鶴見さんも何か真面目にそれを……真面目な方だから、それを守ってしまうみたいなのがあったのかな? と思うんですけど。

まあでも、それでダメだったからバーンと外れてしまった(笑)、みたいな感じですよね。

大原さんとかの方が早めに外れるから柔軟性があるみたいな感じはしますね。

大原 いやー、私は金銭的に行けなかったっていうのもあるんですけど。

pha あー。

大原 まあ良かったですよね。行けなくて。ほんとに。そんな話を聞くと。

pha うーん。

大原 行ったことないんでね。その……比較ができないんですけど。うん。

鶴見 何で大学とかは、ちなみに「行かない」という。最初から考えていたんですか?

大原 いやー、もう

鶴見 プレッシャーはあったでしょ? 「行った方がいいぞ」っていう。

大原 いや、親がですね、昔から「高校までしか面倒見ない」って言ってたんで。だからもう……まあ、でもある意味プレッシャーなくて。

無いですよね。進学のプレッシャーが。恵まれてます。恵まれてるのかな?

pha (笑)

鶴見 不安はなかったの?

大原 ああ、でも当時はあったと思うんですよ。今振り返ると楽しかったことしか覚えてないんですけど。

当時の本棚とか振り返るとね、人間として失格の本とか。

鶴見 太宰治?

大原 そうそう(笑)。

pha (笑)

大原 あと何か、何だろう? 隔離病棟の話とか。いろいろ。暗かったですね。やっぱり。その時に遠藤周作さんの『沈黙』とかも読んで。

鶴見 ああ。

大原 暗い……。

鶴見 遠藤周作読む人、その年齢で日本に数人ぐらいしか(笑)。

大原 18、9とかでしたけどね。だからそれなりに何かこう、若い時って先が見えないから。不安に思ってたんじゃないかと思いますけどね。

pha 大学行ってもやっぱり不安で。何か……結局、本読んでたみたいな感じだし。本読んでればいいと思うんですよね。別に。

大原 結局、じゃあ不安なんですね。

pha やっぱり不安ですね。

大原 若いって不安なんですかね?

pha 若いと不安ですね。

鶴見 歳とっても不安。

pha (笑)

大原 実感が。

鶴見 不安があるから辞められないしね。

大原 不安の質はでも変わりますね。

鶴見 途中で降りる人いないですからね。もう四十ぐらいとかになってね。

大原 老いから降りるってことですか?

鶴見 いや、その……会社員。会社員のレールから降りるタイミング失うし。

大原 あ、うんうん。

鶴見 それはそれで、みんな不安を抱えているからと思って。

大原 そうか。じゃあ、最初からレールに乗ってないのと、四十ぐらいで降りるのってほんとに……

pha いやー、難しいんじゃないですかね。

大原 年季が違いますもんね。

pha 四十ぐらいで降りるのって。

大原 うーん。

pha 勇気がいるというかより。

鶴見 自殺しますからね。もう。

pha そうですね。

鶴見 クビに、クビになったりするとそれで……一気に自殺率が上がったりしますからね。

pha・大原 うーん。

鶴見 死んじゃうんじゃないかと。クビ、自分がそっから降りたりしたら「死んじゃうんじゃないか」って思っちゃうよね。そうなったらね。やっぱね。

pha なかなか四十ぐらいで仕事辞めて、ひきこもりになるとか難しそうですもんね。若い頃はまだそういう人も多そうだけど。

大原 家族とかいるとそうですよね。やっぱり。

鶴見 心中なんじゃないかって。

pha・大原 あー。

鶴見 一家心中になるんじゃないか。

大原 そこまで……そっか。ってことはやっぱり、色んなことを会社に依存してるってことになるんですかね?

鶴見 そう。そうなんですよ。不安になるとこう……どっかに依存するっていう。

大原 あ、不安だから依存するんですね。

鶴見 何となくそんな感じがします。

大原 ま、その話も後々……。私の本の、

鶴見 じゃあ、本。本。

pha 本の話を。

鶴見 本の話を。

大原 はい。

(註1)鶴見済(@wtsurumi)「先日『東京ハッピーライフ』の大原扁理君がしてた「幸せの自給自足」の話が面白かった。食料の海外依存のように、旅行だ飲みだなんだと幸せを外に求めて、うちにいるのをつまらないことと見なしていていいのか。普通に過ごしている時間を幸せにしたほうがいいのではないかと。まったくそう」2016年9月9日23:21:13ツイート

(註2)三浦香代子「私たちが本当に必要なのは「しないことリスト」だった」(インタビュー記事)/日経ウーマンオンラインを参照。

(註3)「あの時間に追われてる時が、生きてて一番辛い時かもしれない。でも、自分ほどじゃなくても、誰だって辛いはずだ。この社会の「生き苦しさ」のかなりの部分は時計から生まれてるはずだ」(鶴見済『檻のなかのダンス』P158-159)

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